いきものブログ

生物や科学関係の記事を気ままに載せます。特に近年大きく変わっているもの中心。

生命の起源

昭和時代の話では、38億年以上前に生命はいないとされていた。しかしその定説は完全に過去のものとなりつつある。
それについて述べる。

取り払われた冥王代の壁

40億年前といえば、その時代はそもそも地球がまだ熱く固まっていないとされた。いわゆる冥王代の時代で実際、昔は38億年より前の岩石は全く見つかっていなかった。

ところが最近、40億年級の岩石が見つかっているらしい。たとえば以下。
後期重爆撃期 - Wikipedia

現在では40億年前やそれ以前の岩石が発見されており、最古のものは42億8千万年前の海洋地殻を形成していたと考えられている岩石でカナダ北東部ケベック州で見つかっており少なくともその頃には海が存在していた[6]。さらにはオーストラリアのジャック・ヒルで44億年前に形成されたと推定されるジルコン結晶が発見されている[7]。これらから原始地球はかなり早い時期に冷えて固まったのではないかと推定されている。また冥王代の区切りも40億年前に変更された。

南極大陸で発見された隕石にはより古い岩石も含まれている。それらの形成年代にも明確な断絶があり、46億年より古いものは見つかっていない。これは、原始太陽の周りの原始惑星系円盤で最初の固体物質が作られた時期を反映したものと考えられている。したがって冥王代は、最初の岩石が太陽系に生成した46億年前からその7億年後に地球が固化するまでの期間とされている。この時代には、原始惑星系円盤から惑星が誕生し、重力ポテンシャルエネルギーを解放しながらゆっくりと冷却していく過程が含まれている。

岩石惑星が冷却し表面が固化するまでの時間は天体のサイズに依存し、地球の場合は1億年と計算されている[8]。これは前述の7億年と大きく食い違っているが、後期重爆撃期仮説はこの問題を解決することができる。つまり38億年前の最古の岩石は、一旦は完成していた地球地殻が38億年前ごろの激しい天体衝突でほぼ完全に破壊され、その後再び固化した時代のものとすれば矛盾を解消できるのである。

この考え方は冥王代の地球像に大きな変化をもたらした[9]。古い参考書では、冥王代の地球はどろどろに溶けた表面を持ちいたる所に噴火口を持つ「地獄のような」惑星として描写されていた[10]。しかし現在では、この時代の地球は固体の地表と穏やかな気候を持ち、強い酸性ながら海も存在していたと考えられている。現存する最古の地球岩石が形成される以前に、既に水ベースの化学反応が起きていたことが複数の同位体比の観測から示唆されているが、このことは新しい地球像の裏付けとなっている[11]。

現在も議論は続いており、今後も定説が覆される可能性はある。

しかし是非はともかく、昔のように「地球ができたのは46億年前だが、最初の生命は十数億年たち地球が冷えてから」という説は完全に過去のものとなったとかんがえられる。